華北の田んぼ 2

灌灘もなく、技術も幼稚な農耕では、播いた種子が自力で子供を生んで、数倍の種子となり、手元に帰って欲しいという期待がすべてでした。


その期待も旱天、洪水、病害虫、また冷涼な秋の訪れによって裏切られることがしばしばでした。


そして、凶作は、種々の抵抗性をもった、いくばくかの性の強いイネを残すことになります。


広大な稲作地域に今日温存されている莫大なイネの変異には、人間の飢餓とイネの試練の時間が刻まれているのです。


華北が、穀子(アワ)や屡子(キビ)なら、長江以南は、穆子(シコクビエ)や湖南稜子(ヒエ)が親しまれている穀物です。


稲作地でよく知られた雑草の一つにヒエがあります。


雑草のヒエが生えないような田にはイネも育たないのです。


旱魃や塩害に対しては、はるかに強いヒエは、立毛のまま枯れた田にも青々と育ちます。


イネの収穫の代わりに、雑草ヒエの収穫になることもあったに違いありません。

華北の田んぼ

華北の田は、狩りをし、ヒツジを囲い、また、アワやムギを播く耕地でしたが・・・


ここでは、雨になると水没する水田、雨がないと土の割れる早田、湧水による灌田、堤をもった園田や沙田、みな水に浸される耕地でした。


糎稲は、粒が丸く大きくて、柔らかく腹持ちが短いです。


丈が短く、穂も短いですが、地味のよい田では収量があります。


病害虫に弱く、成熟が遅いのです。


田を選ぶイネでした。


杣稲は、粒が細長く硬く、丈も高く、穂も大きいのです。


収量は劣りますが、病害虫に強く、成熟が早いのもあります。


日照りにも強く、増水にも耐えます。


地味のない田でも、元来乏しい収量はさほど影響を受けません。


我慢強いイネでした。


・・・このように二つの対照的な性質をもったイネを、同時に育てることによって、また二者の間に遺伝質の交流があったことでしょう。

赤い盆地

一つの作物の成立には、遺伝質の供給源となる野生集団がその地に分布していたことがまず前提です。


その集団も栽培型がもつ多彩な有用形質を潜在的にもつような集団であって、同時に、その広い瓶79伝的変異を維持するに十分な大きさの集団であることも考慮に入れねばなりません。


少なくとも、華中、華南の地の野生イネについての知見がもっと蓄積されるまで、結論はでません。


小高い丘の頂を登りつめると、瞼しい岩場になり、家畜を通さない小径になります。


そして、眼前にまた肩をならべた丘陵が続きます。


丘陵と水脈が複雑に織りなすこの地には、一つの丘に人々が住みつくとそこに一つの国ができたかのように、古くから周囲と隔絶されて静かな生活がありました。


歪曲した水路に小舟を浮かべ、細々と隣村と交流していました。


これらの風景は、長江をさかのぼり、赤色の地肌から赤い盆地とも呼ばれた四川の河谷まで変わることはありませんでした。


おすすめの本! 3

トリプル受賞作になってからは他の書店さんでも売れ始めましたけど、それまではこの本屋だけが大きく展開していたのですね。


トリプル受賞になる前でも、売れ数はその店の50位以内に入ってきていました。


最初の1ヶ月で3桁に乗ったそうです。


普通だったら新刊コーナーには長くても1ヶ月、実情を言えば1週間で消えて行くのがうちの規模での新刊の運命だったりするのです。


しかし、この作品は、3ヶ月間新刊台で粘りました。


辛抱して辛抱して、その結果がロングセラーになってくれたってところがあります。


やっぱりそれなりの愛情を込めないと、限られたスペースの中では無理があります。


3ヶ月新刊台に粘れるのは、年に3冊あるかないかですから。


文庫が出ても棚差しでぜひとも残したい一冊です。

おすすめの本! 2

この本は、それこそ女性にも読んでもらえるエンターテイメント。


さらに高校生ぐらいから年配の人も楽しめそうだったので、幅広くいけるんじゃないかなと思いました。


過去のブラジル移民の暗い歴史と、現代に生きるラテンのノリの明るい日系ブラジル人の主人公、このふたつの話が交互に書かれているのです。


そのリズムが先へ先へと誘ってくれます。


そして人が死なない、ミステリーというところもいいかなと思います。


ある種外務省批判の感もあり、ちょうどそのころ現実の外務省の実情が明らかになりバッシングされていたので、タイミング的にも良かったのだと思います。


定価の値ごろ感はもうそのときは考えていなかったですね。


おすすめの本!

こんにちは。


今日はわたしがおすすめしたい本を紹介します。


「ワイルド・ソウル」です。


「午前三時のルースター」でサントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞をひっさげてというのはあったのですが、まだ著者名だけで客がどうつくか微妙なところでした。


でもなにか自分にハマるものがありまして、なんとか仕掛けてみようと思ったのです。


わたしがよく行く書店では、普通だと新刊コーナーの1ヶ所に平積みぐらいの配本のところを、100冊近い事前の注文をかけていました。


結果的にゲラを読んで反応したのは、その店舗だけだったらしいのですけど。


あまり難しいことは考えずにズバリ「これはエンターテイメント小説だ!」っていう直感がまずあって、2段組で500頁以上あるのに、一気に読み切ちゃったのです。


「これは面白い!」と思いました。


高貯蓄と高成長 3

たとえば、アメリカでは、1980年代はじめの7%台から1986年第三4半期まで継続的に低下し、一時は2%台まで低下しましたが、やっと1987年の第44半期に4・9%に若干戻るということがありました。


ほぼ5%以下の時代が1980年代に入ってからの特徴です。


今後再上昇することが期待されています。


一方、ヨーロッパでは、イギリスが7、8%、フランスが10、11%、西ドイツが12%前後ということで、これらとくらべても日本の貯蓄率はきわめて高いといえます。


・・・近年、日本周辺のアジア諸国では貯蓄率が顕著に高まってきている特徴があり、とくにアジアの新興工業国家といわれる台湾、韓国では日本と同水準、あるいは日本を上回る貯蓄率がみられます。


日本の高貯蓄については、経済学者、あるいは社会学者のあいだからいろいろ要因の指摘があります。


経済的にみれば、経済の成長が早かったこと自体がひとつの高貯蓄の原因です。


あるいは、日本の賃金制度に特有な現象であるボーナスが高貯蓄に影響していることもあります。


つまり通常の生活は月々の給与でまかない、多くの企業で通常夏と年末にニ度支給されるボーナスは大半を貯蓄にまわすという慣習があるからです。


ボーナス時における貯蓄率は平均して約50%になり、これが通年の貯蓄率を押し上げる要因になっています。

高貯蓄と高成長 2

貯蓄は成長の源泉であり、成長があれば、その意味で当然消費も拡大されるということがありますから、貯蓄率が高いことは好ましいことだと思われます。


日本の高い成長は高い貯蓄率に支えられてきたといえます。


しかし、厳密にいえば、第ニ次大戦後でも大きな変化がみられます。


終戦直後は貯蓄は失われ、また、一方では消費に追われるような状態でしたから低い貯蓄率でした。


1946年の個人貯蓄率はマイナス3.4%、49年のドッジ不況の下ではマイナス8.3%でした。


1955年ごろからしだいに上昇し(50年代前半で10%)、高度成長の時期以降は、個人貯蓄率(可処分所得に対する比率)でいえば15%を超えるようになりました。


1970年のはじめ、第一次オイル・ショックのあと、物価が狂乱状態を示したこともあって、生活防衛的な意味で、貯蓄率は一時22%から24~25%まで上昇しました。


その後、物価が落ちつくにしたがって貯蓄率も低下を示し、1980年代に入ってからほぼ15~18%の高い水準で安定的に推移をしています。


・・・この15~18%の貯蓄率は海外とくらべて最も高い部類に属しています。

高貯蓄と高成長

政府の統制・介入は当初から誤りであったという議論もありますが、私はそれは極端な見方であろうと思います。


・・・しかし、今日、国際化が進み、日本経済の実力がついたのにまだ保護主義が残っていることも事実です。


概していえば、日本政府が、産業がまだ幼稚な段階にあるときには保護的な産業政策を採用し、力をつけるにしたがって自由化を進めたという、この一面における保護と他面における自由化との組み合わせが一般的に巧妙で、そのことが経済政策のひとつの大きな特徴であったということができます。


いわゆる開発途上国のなかで、これから"卒業"していく途上国も出てくるわけですが・・・


それらの国にとって日本の段階的自由化の過程は、その成功の面も失敗の面も、いろいろな意味で参考になるでしょう。


・・・ここで、さきにのべた日本人の貯蓄について、もう少しのべておきましょう。


日本の貯蓄率は、戦争の時期を除いて、戦前においても戦後においても一貫して、世界のなかで最も高い水準を続けました。


貯蓄と消費は裏表の関係にありますから、短期的にみれば景気の状況によって当然その評価が変わります。


景気が悪いときに貯蓄率が上がれば、当然消費は抑えられて成長率が低くなりますから、好ましいことではありません。


しかし、一般に、貯蓄率が高いことは投資にまわる資金が多いことを意味します。

日本の豊富な資本 2

少なくとも、戦前にくらべて格段に自由になっていることは否定できません。


海外の人、とくに欧米の人からみると、貿易や資本の自由化はすでに4半世紀も前にはじまったはずなのに、日本経済はまだまだ十分に自由化されていないと映ずるかもしれません。


たしかに、農業や中小企業の多い流通業界や建設業では保護主義的な制度や慣行が根強く残っています。


また、金融資本市場でも、特殊な金融組織とともに保護主義的な金融慣行も残っています。


これらの点はあとで少し詳しくみたいと思いますが、ここで強調したいことは、少なくとも、戦前、あるいは戦時中にくらべ、いちじるしく自由化されたということです。


そして、第ニ次大戦後をとっても、とくに最近では、「原則自由」が圧倒的に多くなりました。


日本人がいうほど「自由化」されていないかもわかりませんが、外国人がみるほど「閉鎖的」でもないのが今日です。


最近の自由化の変化のテンポが速いので、古いデータで日本を観察しないようにしてもらいたいものです。


政府の保護政策あるいは誘導政策と自由化政策との組み合わせが、時代の変化に応じて巧みになされたことも、要因としてあげられます。


その程度や時期などを含め、日本政府の産業政策については今日、いろいろな評価があります。

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